奥歯2本がない時に入れ歯は必要なのか?「短縮歯列」という考え方

入れ歯を使うのにどうしても抵抗があるという方は多いのではないでしょうか。

歯がほとんど残っていない人にとっては、入れ歯を活用することで、食べることができる食品の種類を大きく増やすことができます。

しかし、歯がある程度残っている人の場合はどうでしょうか?

今回はある程度歯が残っている人にとって入れ歯が本当に必要なのかを考察し、「短縮歯列」という考え方を紹介します。

歯科業界では以前から「8020運動(80歳までに20本以上の歯を残そう)」が行われており、20本以上の歯が残っていれば大抵の食品は食べることができると言われています。(大人の歯が生えそろったら28本、親知らずも全て生えそろっている場合は32本です)

大人の方で上下左右とも奥歯が2本ずつない人がいたとすると、その人は全部で20本歯があることになります。

20本という本数は、乳歯が全て生えそろった本数と一緒です。

入れ歯が無くても歯が20本残っていれば、歯の本数だけで言うと5歳くらいの子供と同じものを食べることができるということになります。

3~5歳の子供(男性)の一日あたりのエネルギー必要量は1400kcal程度

70歳以上の大人(男性)の一日あたりのエネルギー必要量は1850kcal程度

といわれています。

70歳以上の方でも5歳の子供よりはエネルギー必要量は多いため、5歳の子供よりもたくさん食べないといけないと考えると、20本では少し足りない?ということになります。

実際のところ、奥歯2本が無い患者の口腔関連 QOL(生活の質)を調査した研究では、奥歯の咬み合わせの喪失により口腔関連 QOLが低下し,特にその傾向は第1大臼歯(前から数えて6番目の歯)のかみ合わせを失った場合に顕著であることが明らかになっているそうです。

奥歯が2本ない場合に考えられる治療法としては、入れ歯またはインプラントが考えられますが、そのどちらの治療もしない「短縮歯列」という方法もあります。

「短縮歯列」とは奥歯2本が無い時に、入れ歯やインプラントなどの治療をせずにそのままの状態でも咬み合わせの機能には大きな影響はないとする考え方です。

「歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン 2008」では、短縮歯列については、「咀嚼機能に関しては推奨されないが、審美性、快適性、患者負担の軽減、う蝕の予防の観点からは推奨してよい」とされています。

つまり、奥歯が2本ない場合には、咬み合わせの機能の回復をするためには入れ歯を作った方が良いが、見た目・快適性・治療費用・虫歯の予防の観点からは短縮歯列という選択もありということになります。

入れ歯を入れた時と何もしないままの時とで、メリット・デメリットをよく考えて治療を選択していくことになります。

「処置しない」場合のメリット・デメリットについてはこちらの記事で解説しているので参照ください。

歯を失ったら歯を作らないといけないのか?「処置しない」という選択肢

当院では「短縮歯列」という選択も含めて、患者さんの希望に沿った治療を提供します。

お気軽にご相談ください。

<参考文献>

「歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン 2008」CQ 3-1

 

よしざきファミリー歯科
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